
■撮ることで気づく 想像を超え写ったもの
どんな作家でも絶対量からくる気づきはあります。撮ってきた写真が自分の先を示してくれるというような。そこで密度を上げていくと、だんだん気づいていく。スナップで撮った主体の周辺に雄弁に語るものがあったりするからです。それがすごく大事です。どれだけ歩いているか、無駄をしているか。そこに想像力を超えて、写り込むものが出てくるんです。撮った写真から既視感がないものに気づいて、そこを深めていくのが面白いと思いますね。
【百々新さんへの8つの質問】
Q1:カメラは何を使っていますか? その理由は?(もし変遷があればそれも)
百々:現在はニコンF6です。視野率100%と機動性。電池の寿命も含め耐久性もありがたい。その信頼性がいちばんですね。マイナスの気温でも強い。モンゴルの撮影はF6です。以前はF5、F3も長く使っていました。
Q2:レンズは何を使っていますか? その理由は?(もし変遷があればそれも)
百々:近頃はやや画面をつめる傾向があり、24~70ミリF2.8です。35ミリ前後で使うことが多いですが、50ミリ程度でも撮っています。かつては20~35ミリのズーム、35ミリの単焦点も使っていました。
Q3:ピントに関してお聞きします。AFまたはMFのどちらを使用していますか? また、どこに合わせるか、被写体を探しているときの設定は?
百々:フィルム、デジタルとも中央で合わせ、AFでは半押しのフォーカスロックで。見ているところでフォーカスを合わせ撮りたいわけではないので。ファインダーの中で、ぐるっと目が遊び、「ここだ!」というところでシャッターを切るのがスナップだと思っているので。置きピンはしません。
Q4:絞り、シャッター速度、ISO感度の設定はどうしていますか?(撮影モードの選択とその理由)
百々:絞ってf8、開いて開放。基本的に絞り優先で背景をあまり省略せず入れます。適度な空気感をとらえたいので、パンフォーカスにはしません。シャッター速度は、60分の1秒は欲しい。ブレない、ボケすぎないギリギリをいきたいんです。そこに身体性とメカニズムの関係も含め味わいが出てくるかと。ISO160なら100ぐらいに設定し、濃いめのネガをつくります。