次に28ミリレンズ固着式の広角専用機、コーワSWがほしくてほしくて手に入れました。スナップショットにはやっぱりこういうカメラがいいな、これ一台で何でも撮れる、そんな気がしてかっこよかったわけです。
ニコノスIV-Aには35ミリ、ライツミノルタCLには40ミリをつけていました。焦点距離が少しずつ変わってきました。
そしていま、「自分の作品撮り」と、胸を張って言えるものに対しては標準レンズをメインで使っています。具体的にはAF-Sニッコール50ミリF1.8GとAF-Sニッコール58ミリF1.4Gを最近の作品「川の流れる町で」「NEWCOAST2 なぎさの日々」では多用しました。
正直なところ、超広角レンズには魅力をそれほど感じません。もちろん、これはレンズの描写力の良しあしとはまったく別の話です。
2010年に「標準街景」という作品を発表しましたが、それは標準レンズで撮る街の景色。ストレートに、見えているものをスタンダードに撮りたい、という宣言でもありました。
ズームレンズを使えば、焦点距離の自由度は高いですが、単焦点の標準レンズを使うことで自分自身を縛っていくというか、ちょっとした不自由が写真に載っていくわけです。
そのことで、しばらく腰を落ちつけて被写体と関わらなくてはいけなくなってくるし、「ちょっと写っていないな」と、繰り返し撮っていく。わざわざそういうストイックなレンズで撮ることによって、作品性みたいなものが高まってくると思います。
■撮り手の潔さが出る単焦点レンズ
でも、標準レンズに代表される単焦点レンズはオールマイティーではありませんから、仕事でいろいろなものを写すときには24~70ミリのような標準ズームレンズをよく使います。やはり、画角を自由に操れるという点でズームはありがたいものです。
冒頭の写真は台湾の寺を訪れたときに24~70ミリレンズで写したものです。このように派手なものが密集しています。そのごちゃごちゃした感じをいちばんワイドの24ミリにして全部入れて撮っている。仮に単焦点の50ミリレンズ一本だけでしたら、この狭い場所ではこんなふうには撮れません。