萩駅を過ぎると車窓には紺碧の日本海が広がった。車内では海を眺めながら、萩にまつわるクイズ大会が始まった。出題は歴史あり、自然ありのなかなか高度な内容で、正解者には萩焼の特製湯のみやぐいのみなどがプレゼントされる。「◯◯のおもてなし」というわけだ。
沿線こだわりの「食のはなし」も充実している。まず、左党には「萩のおつまみセット」。萩沖でとれた旬の魚介類を用いた金太郎の南蛮漬け、ちくわの磯辺揚げ、サザエ、フグのマヨネーズ和え、ミンククジラのぬた和えなど。一方、甘党には「萩のスイーツセット」。地酒の酒粕マドレーヌ、橙のカトルカール、シュークリームなどが用意されている。
意味不明の列車だったが、乗ってみれば充実の内容である。乗車券+指定券(520円)で乗れるのも、
「◯◯のはなし」!
写真・文=櫻井寛
※『アサヒカメラ』2019年10月号から抜粋