私有地など立ち入り禁止区域に侵入するマナー違反者も多く目撃されている。規制ロープの内側に入り込んで三脚を立てる、民家の農地にずかずかと入り込んで畑を荒らす、木や塀によじ登っての撮影など、枚挙にいとまがない。中には「先生」と呼ばれる立場の人が生徒を禁止区域に誘導することもあるという。神奈川県に住む写真家の男性Aさん(58)はこう話す。
「2年ほど前、東京の新宿御苑で写真教室の講師と思われる60代後半くらいの男性が7、8人の生徒を引き連れていました。公園内の池には立ち入り禁止のロープが張ってあるのですが、ちょうど水面に太陽が映り込む時間帯で、近づいたほうがいい写真が撮れそうでした。すると、講師の男性は平然と『はい、こっち』と生徒たちをロープの内側に誘導。『この角度で撮るといいですよ』などと教えていました。先生自身がこれでは写真界全体のマナー向上など図れるはずがありません」
それ以外にも、悪質なケースが多く報告された。
●高齢のカメラマンが、遠くに咲いている花を撮るのに自分のレンズでは届かないからと、木道を降りて花のそばに行って写真を撮っているのを見て驚いた。家族写真を撮る職業カメラマンが、家族をひまわり畑の中に入らせて写真を撮ったり、炎天下に赤ちゃんをピクニックバスケットに入れてひまわり畑の中において撮っていたのにもビックリした。(50代 女性 主婦)
●地元の方が止めるのも聞かず、民家の土地に踏み込む。表向きはプロとしてもっともな意見をSNS等で述べているが、実態はひどい人がいる。
(40代 女性 会社員)
●私有地に入る、現場の警備員や駅員の指示を無視、生えている植物を伐採して三脚を立てる。
(40代 男性 フリーカメラマン)
●踏切内でカップルが自撮り。アジサイの時期に箱根登山鉄道の敷地内に入り70歳くらいの男性が鉄道撮影をし、運転士が気づいて電車を緊急停止して、男性をとがめていた。
(50代 男性 職業不詳)
かつて、元人気アイドルが線路上で何げなく撮った写真が物議をかもしたことがあったが、重大な事故につながる可能性もあるので絶対にやめてもらいたい。