4年間にわたってアメリカ各地を経めぐり、この国で勢いを増しているマリファナ合法化への波を取材した記録。

 マリファナには実はヘロインなどその他のドラッグと違って依存性もなく、エイズや緑内障、てんかんなどさまざまな疾患の進行を抑えたり苦痛を軽減したりする効用がある。しかしアメリカでは、マリファナは「移民がもたらす悪」というイメージを刻印され、排撃されてきたという歴史的経緯がある。

 連邦政府と州政府との対立なども背景に、マリファナ合法化運動は人権や社会正義をめぐる問題と位置づけられ、すでに30州以上で合法化が果たされているという。

 麻薬は無条件に悪とみなす風潮の根強い日本。そろそろ正面から向き合わないと、この潮流に乗り遅れてカヤの外に置かれるのではという危機感を煽られる。(平山瑞穂)

週刊朝日  2019年10月4日号