■真摯な力強さと奥行きの深さに魅了 アート作品のような羊羹「光る窓」
京都市北区、わら天神前に1959(昭和34)年より佇む「京菓子司 笹屋守栄」は、安産の神様・わら天神宮名物「うぶ餅」をはじめ、原材料にこだわり四季折々の和菓子を丹念に作られています。また、堂本印象が手掛けた色鮮やかな包装紙や化粧箱を使われていることでも広く知られています。
堂本印象美術館リニューアルにともない、ロビーの中心的な存在であるステンドグラスの作品「蒐核(しゅうかく)」からイメージした和菓子を手掛けられたのが、職人・三田村俊さんです。堂本印象が、色ガラスや包装紙などを貼り合わせ、身の回りにあるものに再び息を吹き込んだ作品と真摯な気持で向き合い、完成まで2ヵ月をかけて作られた羊羹「光る窓」。三層からなる様々な“光”を羊羹で表現し、ガラスのように透明な表面の寒天には、ピンクやグリーン、金色など鮮やかな色が散りばめられ、その奥行きの深さと力強さに魅了されてしまいます。
■使って楽しむ印象作品
館内受付の横に、堂本印象作品の作品集やポストカードをはじめ、暮らしの中で使って楽しめる印象作品のグッズを扱うミュージアムショップがあります。ひとつずつデザインが異なる30点の木彫椅子がモチーフとなった手ぬぐいや、鍵がモチーフのコースターは、以前から愛用しています。抽象作品をモチーフにデザインされたマスキングテープは、どこで切っても印象作品が楽しめる優れものです。
■手のひらの中に京の色を 京都の色を瑞々しく表現したパステル
1913(大正2)年創業、河原町通五条に佇む「画箋堂」は、京都で多くの画家を支えてきた老舗画材・額縁専門店です。そこで見つけたのが、色鮮やかな「京色パステル」。京都、東山区にある日本唯一のソフトパステル専門メーカー「王冠化学工業所」にて、1919(大正8)年から一本ずつ手作りでパステルを製造されています。「京色パステル」は、一人の女子高生のアイデアがコンペにより採用、商品化されたもので、京の景色が目に浮かぶような瑞々しい感性には驚くばかりです。18色のパステルには、京都にまつわる様々な物語が色のイメージに合わせ添えられ、京の街や自然がパステルの一本、一本に映し出されているのです。京都の自然をこのパステルで思わずスケッチしたくなりました。