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 年明けから始まる中学入試シーズンを前に、わが子を思うあまり親の気持ちも不安定になりがち。この「心の魔物」とどのように向き合えばいいのだろうか。教育ジャーナリストのおおたとしまささんに聞いた。2022年12月19日号の記事を紹介する。

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──12月に入り入試までのカウントダウンが始まりました。今の時期、家庭ではどんなことに気をつけたらいいのでしょう。

 首都圏では、1月中旬には千葉や埼玉で入試が始まります。第1志望が東京の学校という人でも、お試し受験として1月入試を受ける家庭もありますから、12月からは多くの家庭が受験の波に流されていく時期に入ると思います。

 流れに順調に乗っていければいいのですが、意外と想定外のことが起こる。この時期にどれだけ安定した気持ちを維持できるかがとても重要です。それが、2月1日から始まる入試本番の土台になります。中学入試は2月3日までに終わればいいほうで、4日や5日まで続くことも少なくありません。

「結果が受け入れられない、でも受け入れざるを得ない」。そんな気持ちを抱えつつ、次の入試に向かっていかなければならない状況が続く場合もあります。相当に精神的なタフネスが求められ、実際に親御さんからは「人生で最も長い1週間」「もうあの1週間は経験したくない」という言葉もよく聞きます。その準備期間として、今からの時期をいかに穏やかに過ごすかが大切です。

 中には電車が遅延したらどうしようとか、雪になったら……とか、今から心配される親御さんもいますが、親があれこれと想定して不安になるよりも、何が起きても「大丈夫!」と言える心の訓練をしておくことの方が大切。内心では「やばい!」と焦っていても、子どもの前では「大丈夫」とおおらかに構えているのが良いと思います。

■生活リズムを整える

 過去問や弱点補強など、勉強がラストスパートで夜遅くなることもあると思います。しかし年が明けてからは、生活リズムを整えていくことが重要です。どうやったらベストコンディションで朝の入試を迎えられるかということから逆算して、寝る時間や食事の時間を調整する。今はコロナの対策として、1月に小学校を休むケースも増えているようですが、生活リズムが崩れてしまうということもあるので注意が必要です。私の著書『勇者たちの中学受験~わが子が本気になったとき、私の目が覚めたとき』でも紹介しましたが、中には朝のラジオ体操をルーティン化することで、ポジティブな自信につなげていった親子もいます。

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