6月も下旬となりました。二十四節気では6月22日に夏至を迎え、ここからの15日間が暦の上ではちょうど夏の真ん中にあたります。太陽の光をたっぷり浴びて、植物がぐんぐん成長する季節でもありますね。
さて、青果店やスーパーに並ぶ多くの野菜や果物ですが、いまは一年中ないものはないといわれる時代です。けれども、夏の季語に分類されている野菜や果物には意外なものも含まれていました! そこで今回は、和名などを含め、旬の野菜・果物に関して調べてみました。

夏が旬の野菜・果実の漢字読めるかな?

まずは果物の季語をご紹介します。漢字から想像してみてくださいね。
「桜桃」と「山桜桃」
これらはどちらもバラ科の落葉樹で、甘くて赤い実をつける果実です。
「桜桃」は「さくらんぼ」、「山桜桃」は「ゆすらうめ」と読みます。
桜桃(さくらんぼ)は、西洋実桜の果実のことで、日本には明治時代にフランスとアメリカから輸入されました。北海道、山形、福島、長野で栽培に成功、冷涼な気候を好み、雨にぬれると割れてしまう繊細な果実です。初夏から夏にかけての果実の代表格ともいえるでしょう。
一方、山桜桃(ゆすらうめ)の原産は中国で、6月ころに1センチほどの甘酸っぱい実をつけます。江戸時代に中国から渡来し、庭木として広まりました。ある年代以上の方はよく知る果実とされますが、知らない世代も多いようですね。中国などでは店頭や市場で広く売られているので、旅行に出かけた際に市場をのぞくとみつけられるかもしれません。
果汁が特徴の「鳳梨」
「アナナス」と読むペルー語で、パイナップル科の旧称です。そう、これは「パイナップル」のこと。漢名は「鳳梨」。南米原産のアナナス科の多年草で、多くは観賞用として栽培され、7月~9月に集合果をつけます。熱帯・亜熱帯各地で栽培され、日本でも沖縄・奄美地方の特産品となっています。
なぜ夏? 「甘蕉」
「ミバショウ」と読む、バショウ科の多年草。熱帯アジア原産で、バショウの葉っぱに似た葉のなかに甘い実をつける「バナナ」のこと。初夏のころに叢生(そうせい)した葉の中央に多数の淡い黄色の花をつけるので夏の季語となっているそうですよ。

次は夏が旬の野菜です。意外な野菜かあるかもしれませんね!?
夏野菜といえば「蕃茄」
「赤茄子」とも呼ばれるナス科の一年草なのですが、これは「トマト」のこと。原産は南アメリカのアンデス高地で、日本では明治初期に観賞用として広がり、昭和初期に食用として普及。食用として身近なのに、意外と歴史が浅いのは驚きですね。
「胡瓜」と「メロン」の関係とは?
胡瓜(きゅうり)は、ウリ科の一年草で、原産地はインドとされ、中国を経て日本に渡来したといわれていますが、その後、食卓に欠かせない野菜に。でも、メロンとどんな関係が……?
実は、メロンはアフリカ原産のウリ科の一年草であり、イギリスで品種改良ののち、明治初年に日本に導入されたもので、メロンの露地物は戦後の胡瓜との交配で普及したといわれています。漢字では「甜瓜」と書き、瓜の仲間であるため、メロンはれっきとした野菜のひとつなのです。
もちろん「西瓜」もあり!?
ウリ科の一年草で「スイカ」のこと。日本には明治初年にアメリカから渡来したとされます。夏によく冷やしたスイカを食す、スイカ割りなどが風物詩とされていますが、実は西瓜は夏ではなく、秋の季語。その理由は、旧暦の七夕(8月7日ころで季語も秋)に供えたから。もちろん、スイカも果物ではなく野菜ですので覚えておきましょうね。
(参照:俳句歳時記(春~新年) 角川学芸出版 角川文庫/入門歳時記 大野林火・著 角川学芸出版/広辞苑)

歳時記から紐解く言葉の世界

いかがでしたか? 漢字の読みから想像する夏の果物・野菜をご紹介しましたが、意外な季語もあったのではないでしょうか。歳時記に載っているのは主に路地ものですので、より季節感が味わえそうですね。
──言葉や漢字の成り立ちを知ることは、日常生活に膨らみを持たせてくれるはず。
これから夏本番となる暑い季節が訪れます。
夏野菜は暑い時季に体を冷やす役割をもっているといわれますので、旬の野菜や果実を食べて、元気に夏を乗り切りたいものですね。