また、ライカQでは価格に見合わない簡易的な視度補正ダイヤルの仕組みだったが、ライカQ2ではポップアップ式のダイヤルになり、使い勝手は大幅に向上した。調整を済ませたダイヤルを押し込むときの重みと、カチッという精密機械然とした作動感は官能的ですらある。視度調整ダイヤルはライカQユーザーからの改善要望が多かった部分のようだが、小手先の改良でお茶を濁すことなく仕上げるところがいかにもドイツ製品らしい。

 鏡筒基部にあるダイヤルをマクロモードにするとピントリングの距離指標がスライドして近距離用表示に切り替わるメカ式ギミックはライカQですでに実現していたが、改めて使ってみるとやっぱりすごい。こういう手の込んだ、しかもコストがかかる仕組みはライカでないと実現できないと思う。

レンズ基部を回してマクロモードに切り替えられる。それと同時に、距離指標も切り替わる。
レンズ基部を回してマクロモードに切り替えられる。それと同時に、距離指標も切り替わる。

高画素化にも対応する 28ミリのズミルックス

 ライカQ2に装着されているズミルックスf1.7/28ミリ ASPH.はライカQと光学系はまったく同じ。画素数がほぼ倍増しているのに同じレンズのままで大丈夫なのか心配だったが、撮影結果を見る限り4730万の画素数にレンズが負けている感じはしない。「ライカQを設計した時点でレンズに関しては将来の高画素化を見越した解像性能を持たせている」という開発者の言葉は本当のようだ。ライカは他のメーカーに比べるとRAWとJPEGの画質差がこれまでやや大きめだったが、画像処理エンジンが新しくなったせいかライカQ2ではJPEGの画質もよく、RAWとの画質差は意外に少ない。これならJPEG派の人でも安心して使えるだろう。

高画素化されたにもかかわらず、高感度時の画質は向上しており、ライカQ2のISO1万2800はライカQのISO6400と同じくらいのノイズ量だった。このためライカQ2のISO6400は完全に実用範囲内だ●ライカQ2・ズミルックスf1.7/28ミリ ASPH.・絞り優先AE(絞りf8・4分の1秒・+0.6補正)・AWB・ISO6400・RAW
高画素化されたにもかかわらず、高感度時の画質は向上しており、ライカQ2のISO1万2800はライカQのISO6400と同じくらいのノイズ量だった。このためライカQ2のISO6400は完全に実用範囲内だ●ライカQ2・ズミルックスf1.7/28ミリ ASPH.・絞り優先AE(絞りf8・4分の1秒・+0.6補正)・AWB・ISO6400・RAW

 高画素化された恩恵は明らかで、解像性能は誰が見ても文句のないレベル。ライカQの2420万画素でも実用的には十分だったので、オーバースペックに感じる人もいるかもしれないが、35ミリ相当のクロップで3000万画素、75ミリクロップでも660万画素という画素数をキープでき、単焦点レンズでありながらズームレンズ的に使えるのは高画素化の大きな恩恵だ。

写真と解説 河田一規

アサヒカメラ2019年5月号より抜粋

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