それにしても動物のがなぜ絵を描くという字とよく似ているのか、誰か解明していただくと猫と描くというこの類似性の謎が解けて、もっと画家と猫の親和性が見えてくるかも知れないという実にくだらないことを僕は考えている。

 最後にちょっと気になることを思い出したが猫はどこか魔術的というか魔性の動物である。そんな神秘性はアートの神秘性とも結びつくように思う。猫の魔性についてはどなたか専門家に解説してもらうとして。日本でも化け猫の話があるが、化け犬というのは聞いたことがない。やっぱり猫はどこかで人間を超えた宇宙的存在ではないだろうか。

横尾忠則(よこお・ただのり)/1936年、兵庫県西脇市生まれ。ニューヨーク近代美術館をはじめ国内外の美術館で個展開催。小説『ぶるうらんど』で泉鏡花文学賞。2011年度朝日賞。15年世界文化賞。20年東京都名誉都民顕彰

週刊朝日  2022年12月23日号(2023猫カレンダー付き)

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