『猫と竜』(c)『このマンガがすごい! comics 猫と竜』(佐々木泉/アマラ、宝島社)

と竜』は異世界ファンタジーもの。火吹き竜が深い森の奥で魔法を操る猫たちと暮らしていた。竜は猫に育てられ、“猫竜”と呼ばれている。

 竜の寿命は長いため、一緒に育った兄弟猫はこの世を去っていたが、その子孫が命をつないでいる。猫竜が見守る中、子孫たちもやがて巣立つ。冒険に出るものもいれば、人間に仕えるものもいて、物語にはさまざまな猫たちのエピソードが綴られている。絵が美しく、登場する猫たちもかわいらしく、ほっこりした気持ちに浸れる。

■いつか来る別れの時に

『ポッケの旅支度』(c)イシデ電/KADOKAWA

『ポッケの旅支度』(イシデ電、1200円、全1巻、KADOKAWA)

『ポッケの旅支度』(c)イシデ電/KADOKAWA

『ポッケの旅支度』は、漫画家のイシデ電さんの飼い猫「ポッケ」の最期を描いた作品。ポッケは生後約4カ月の頃に自ら家に上がり込んで居着き、15年もの間、生活をともにしてきた。

 ある日、ポッケが慢性腎不全であることが発覚。過去に先代の猫を看取った経験があるものの、後悔もあった作者。いずれ猫は死ぬものと心得ているつもりでも、確実に近づく別れの瞬間。その過程を淡々と、丁寧に描き、ツイッターで話題に。大切な猫の旅立ちにどう寄り添うかを考えさせられる。(ライター・吉川明子)

週刊朝日  2022年12月23日号(2023猫カレンダー付き)

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