「食育インストラクターの資格を取得することで、自分の仕事や子育てに生かせる知識を学びたいと思いました。特に勉強になったのは、今の子どもたちが置かれた5種類の『こ食』という食環境やフードロス、『フードマイレージ』などです」
5種類の「こ食」とは、一人でごはんを食べる「孤食」。家族でテーブルを囲んでいても、それぞれが別のものを食べる「個食」。自分が好きなものや決まったものしか食べない「固食」。食欲がなくて少ししか食べない「小食」。パンを中心に粉ものに偏る「粉食」。最近は「子食」「濃食」「虚食」などの追加定義も見られる。
フードロス(食品ロス)はどうか。消費者庁のデータによると、まだ食べられるのに廃棄される食品は522万トン(2020年度推計値 出典:農林水産省・環境省)もある。国民1人当たり、お茶碗約1杯分の食品が毎日捨てられている計算だ。
一方のフードマイレージ(食料の輸送距離)とは、「食料の輸入が地球環境に与える負荷」を数値化した指標(食料の輸送量×輸送距離)だ。この数値が高い輸入品は、温暖化ガスの排出などを通じて、地球環境に悪影響を及ぼしているとされる。
「5種類の『こ食』の中で多いのは『孤食』で、一人ぼっちで食べる子が珍しくないのが現状だといいます。食育について学んだことで、こうした社会問題と向き合うことができました。単に料理を作って食べるだけでは、知らないままだった」
和田家の3人の子どもは現在、上から12歳、10歳、8歳。子どもたちには、「固食」や「粉食」につながりやすいファストフードは禁止にしていないそうだ。友達と一緒にお昼ごはんとして食べることもあるだろうし、禁止ばかりでは楽しくない。一方、糖分の過剰摂取になりがちな炭酸飲料やジュースは控えめにしているという。
「と言いつつ、週に一度は『コーラの日』、というのがわが家のルール。毎週金曜日は家族そろって外食を楽しむことになっています(新型コロナ前)。大人たちがビールを片手に持つのと同じように、子どもたちもコーラで乾杯しています」
和田さんの自宅周辺には、おいしいお店が数多くある。ただ、大人向けのところが多い。子連れでも歓迎してくれる店を地道に開拓した。
家計の管理は基本的に夫任せだという。
「その方面は、彼のほうが得意なので。必要な買い物にはクレジットカードを使い、代金の引き落とし先は家族の口座にしています。家計簿をつけてみたこともあったけど、全然続きませんでした(笑)。
私はスーパーで毎日買い物をするので、『今日は牛肉を買っていつもより高かったから、明日は少し控えめに』といった程度です。調味料はいいものを選びます」
和田さんがお金を惜しまない一番のぜいたくと、なるべく安く済ませるモノは?
「お金をかけているのは家族旅行です。5人家族だからホテルは広い部屋でなければ泊まれないし、旅行が大好きなんです。お金をかけていないのはスキンケアかな?
たとえば化粧水は、1リットルも入っているのに1000円以下のものを浴びるように使っています(笑)」
(構成/編集部・中島晶子、伊藤忍)
※『AERA Money 2022秋冬号』から抜粋