国内外の人々を惹きつけてやまない京都。その四季折々の魅力を、京都在住の人気イラストレーター・ナカムラユキさんに、古都のエスプリをまとったプティ・タ・プティのテキスタイルを織り交ぜながら1年を通してナビゲートいただきます。愛らしくも奥深い京こものやおやつをおともに、その時期ならではの美景を愛でる。そんなとっておきの京都暮らし気分をお楽しみください。
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■はんなり京のお花見の愉しみかた
京都に暮らし幾度春を重ねても、そわそわとしながら桜の季節を待ち焦がれています。山桜、枝垂桜(しだれざくら)、染井吉野が咲き揃い、京の街が淡い薄紅色のグラデーションの衣を纏う頃には、高鳴る気持ちを抑えきれず、居ても立っても居られなくなるほど。
京の桜は、早咲きで知られる濃い紅色の「長徳寺のおかめ桜」から、遅咲きの名所「仁和寺の御室桜」など4月下旬頃まで約1カ月間、市内のどこかで桜を愉しむことが出来ます。数ある名所を訪れることも勿論ですが、自分だけの愉しみかたで桜をゆっくりと味わいたいという時は、鴨川を歩いてみませんか?
■鴨川そぞろ歩きとお花見ピクニック
京都の街の中心を流れる鴨川は、人々が誰にも邪魔されずに思い思いに好きなことをして過ごす場所。川面にぷかぷかと浮かぶ鴨をぼんやりと眺める人、楽器を練習する人、踊る人、昼寝をする人、手を取り合って散歩をする老夫婦の姿も。ここに流れる時間は、京都の中でも特別にゆったり、ゆっくりしています。例えば突然思い立って、東京から新幹線で飛んで来たとしても、鴨川沿いを歩けば旅人気分はいつの間にか何処かへ飛んでゆき、京の暮らしの中にすっと溶け込むような時間を過ごすことが出来るでしょう。目の前のどこまでも続く桜色の帯と高く広がる空のもとでふとこう思うんです。「ここに美味しいもんがあったら、ものすごく幸せだなあ」って。
そういう時にぴったりな過ごし方をご紹介しますね。