宮田:私も受験を一通りくぐり抜けましたけど、今の受験勉強と、これからの社会を生きるスキルって、相当乖離(かいり)していますよね。一昨年、中国が6、7歳の児童の筆記試験を禁止しました。そこに子どもの時間を費やすのは、国家的な損失だと。
大宮:確かに。
宮田:受験勉強って、一人が切り離された状態で、ひたすら黙々と知識を集積して、与えられた答えに対する、正解の精度を競うわけですね。でも、いい弁護士の基準は10年前くらいに変わっていて、昔は正確に六法全書を覚えている人だったんですけど、そんなのグーグルさんに任せればいい。センスよく知識にアクセスして、いろいろな人とつながって、一緒に仕事をする。これが今のいい弁護士です。子どもたちに必要な学びも、そういう方向にシフトしなければなりませんが、東大とか慶応が一気にドラスティックに変わることは難しいので、われわれは、スタートアップとして、飛騨で新しい大学を作ろうとしています。
大宮:それがすごいですよね。なんでそういう話になったんですか。
宮田:私は岐阜出身なんです。それで、理事長候補は33歳の若者で。変わったやつなんですよ。僕に会いに来て、「宮田さん、一緒に文明を作りましょう」と。
大宮:文明ってどういうことですか。
宮田:今までの文明って無意識なものが集積して、後付けされることが多かった。農業革命、産業革命とか。でも、そろそろ人は、意識的に文明を作りにいく時代なんじゃないか。一人一人が生きることが先にあった上で、社会を作っていくっていう大きな変化が生まれると思ってます。
※AERA 2023年1月16日号