飼い猫は本気でダイエット中。私は毎朝、「腹減ったぞー」という猫の声で起こされる。目が半分開かないまま餌をやるが、あっという間に平らげ、「ぜんぜん足りなーい」と騒ぎだす。だが、脅迫に負けてはいけない! ぐっと我慢。
公園で拾われたので名前は「ひろば」(写真、雄)。10年ほど前にわが家にやってきた。当時は純粋無垢な瞳でこちらを見つめる痩せっぽちの子猫で、とても同じ猫とは思えない……。とにかく食いしん坊で、夜中に“カリカリ”の袋を破って食べ、目を離した隙にまな板の上から鶏肉をかっさらう……。私も求められるがままに餌をあげ、みるみるうちに肥大化。6キロを超えたあたりから、獣医に、
「んー、ちょっと体格がいいわね。ごはんどれくらい食べているのかしら」
と、やんわりクギを刺されていた。
でもコロコロ太った猫は実にかわいい生き物である。ジャンプするも重すぎてずり落ちる姿がいとおしい。おしりをぶりぶり振って歩く姿も愛嬌がある。デブ猫からはマイナスイオンでも出ているのか、SNSにひろばの写真をアップすると、知らない人から次々「いいね」がつく。癒やし効果は絶大のようだ。
だが、とうとう体重は8キロに。どてっと床に寝転んでいるのが基本姿勢になってしまった。出っ張ったおなかが邪魔で、お尻をなめられなくなり、ついには真っ赤に腫れた。炎症を起こして痛いものだから、動物病院では大暴れ。押さえつけようにも、重いし、声は大きいし。ひろば、あんた猛獣かよ……。獣医にもあきれられ、ようやくダイエットを決意したのである。
1年後。体重は2キロほど減った。ライザップ並みに厳しく管理・指導した結果である。でも「いいね」はめっきり減ってしまったのが、飼い主としてはちょっぴりさみしい。
(鎌田倫子 編集部)
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