そして、企業や組織では、上の立場になるほど、人事判断や戦略判断という、より高度な形で、この直観的判断力が求められます。
いずれにしても、「学歴」の落し穴に陥る人は、「学歴的能力」においては、極めて優秀なのですが、その「優秀さ」に過大な自信を持ち、「学歴的能力」に安住し、実社会で求められる「職業的能力」を意識的に身につけていこうと努力をしないため、成長が止まってしまうのです。
もし、あなたが、偏差値の高い有名大学を出て、学歴的には優秀であるとの自負がありながら、そして、論理思考と専門知識においては誰にも負けないとの自信がありながら、内心、「自分は、周囲の期待ほどには活躍できていない」と感じているならば、『なぜ、優秀な人ほど成長が止まるのか』で語った「棚卸しの技法」を始めとする「成長の技法」は、その壁を打ち破る大きな力になるでしょう。
●穴に落ちるのは「学歴エリート」だけではない
しかし、実は、この「学歴」の落し穴に陥る人は、「高学歴」の人だけではありません。
高い学歴を持たない人でも、この落し穴に陥ることが、しばしば、あります。
例えば、「自分が職場で評価されないのは、学歴が高くないからだ」と考え、懸命に専門知識の勉強をして、「学歴」の代わりになる、様々な「資格」を取ろうとする人です。
もとより、専門知識を身につけること、専門資格を取ることそのものは、それなりに意味のあることなのですが、この人が、その職場や職業で「活躍する人材」になりたいと思うならば、むしろ、そうした「学歴的能力」を高める努力以上に、「職業的能力」を高める努力をすることこそが、正しいキャリア戦略なのです。
従って、もし、あなたが、高い学歴を持たない人であっても、この「学歴的能力」と「職業的能力」の違いを理解し、同書で語った「反省の技法」を始めとする「成長の技法」を実践し、「職業的能力」を磨く努力を続けられるならば、「学歴的ハンディ」を超え、その職場において「活躍する人材」になっていくことができるでしょう。