■プレゼント無理かも
「生活がキツいです」
関東地方に住む女性(30代)は心情を吐露する。
生後7カ月から中学生まで4人の子どもがいる。子どもが通う保育園がコロナで休園になってパートを休んだり、夫(40代)の会社もコロナ禍で業績が悪化したためボーナスが削られたりした。収入が減る中、物価高が追い打ちをかけた。オムツもミルクも必要。何より、食費が家計を圧迫する。
「いつも行くスーパーで豚肉が100グラム78円だったのが98円に上がりました。10円、20円でも値上がりすると大変です」
子どもたちにお菓子も買ってあげられない。クリスマスプレゼントも、子どもが欲しがっているゲームを買ってあげることができないかもしれないという。女性は、訴える。
「夫婦がそろっていても、生活が苦しい家庭は多いと思います。そうしたところにも国は手厚い支援をしてほしいです」
物価高対策として国は、所得の低い住民税非課税世帯を対象に1世帯当たり5万円の給付を始めた。だが、非課税世帯は高齢者が多く、働く現役世代への支援が手薄になっていると指摘される。
こうした状況を受け、生活経済学が専門の岐阜大学の大藪千穂副学長は、今までの生活に固執せず意識を変えることが大切だとアドバイスする。
「多くの食料品が値上がりして生活は大変ですが、野菜や果物でも安くなっているものはあります。安くなっているものがあるのに、値上がりしている小麦や油を使った食品を、これまでと同じように食べるのは賢い選択ではありません」
食料品の値上がり分を全て食料品で抑えようとするのは困難だ。外食や洋服を買うのを控えたり、部屋では暖かい素材の下着や服を重ね着して電気代を抑えたりして、別の支出を減らすことが重要になる。長期的には保険の見直しも有効だ。大藪副学長は、社会や経済が変動している時は、知恵と工夫が求められると話す。
「限られた収入の中で何ができるか。何が必要か優先順位をつけ、自分で考え管理する力をつけることが大切です」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2022年12月26日号より抜粋