また、モンスター化したクレーマーに対しては、通話を「細切れ」にすることも効果的です。2時間も3時間もまくし立てるクレーマーでも、たいていは1回の電話で決着をつけたいと思っています。たとえ百戦錬磨のクレーマーでも、2回目の電話をかけるには、それなりに気合を入れなければならないのです。

「途中で電話を切ってもいいんですか?」と質問されることもありますが、むしろ「もう、切らなくてはいけない」というケースのほうが断然多いのです。

 断りのフレーズはシンプルです。

「誠に申し訳ございませんが、いま結論を出すことはできませんので、一度電話を切らせていただきます」

 まずは、口調は丁寧にしつつも、きっぱり会話を中断します。
それでも相手が無理難題を押しつけるようなら、こう切り返します。

「申し訳ございませんが、私どもではそのようなご要望にはお応えできかねます」

 こう言い切って、受話器を置けばいいでしょう。

「話の途中で電話を切るな!」などと、すぐに電話がかかってきたときは

「先ほども申し上げたとおり、私どもではそのようなご要望にはお応えできかねます。失礼いたします」

 と言ってガチャン。

 これを3回も繰り返せば、相手もかなり消耗しますから、諦めて引き下がる確率はグンと高くなります。

『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル』では、こうした電話対応のほか、対面・メールでの正しい対応法、ネット炎上を鎮火させる方法など、クレーマーの終わりなき要求を断ち切る23の技術を余すところなく紹介しています。

 ぜひ使い倒していただき、万全の危機管理体制を整えた上で「顧客満足」を追求してください。

援川聡(えんかわ・さとる)/(株)エンゴシステム代表取締役。
 1956年広島県生まれ。 79年大阪府警察官を拝命。95年に大手流通業(株)マイカルに就職。元刑事の経験を生かし、トラブルやハードクレームの対応にあたる。適切で確実な解決術は高い評価を受け、業界団体の講師を務めるなど悪質クレーム処理の専門家として認知される。2002年、「困難なクレームを解決し、企業の危機管理を援護する」をモットーに(株)エンゴシステムを設立。豊富な現場経験と独自のノウハウをもとにリアルタイムで企業、医療機関、役所等をサポート。常に数十社と顧問契約を結び、これまでアドバイスした件数は5000を超える。講演・セミナー講師を年間100回以上務めるほか、新聞・雑誌への寄稿、NHK「ニュースウオッチ9」、日本テレビ系「news every.」、フジテレビ系「プライムニュースイブニング」などテレビ出演も多数。

 著書に『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』、『クレーム処理のプロが教える 断る技術』(幻冬舎)、『超プロがついに明かす クレーマーの急所はここだ! どんな問題もすべて解決! 』(大和出版)などがある。