■平等を追求するのなら
愛子内親王の好感度があがると、女性天皇論が再び盛り上がる可能性があります。そもそも、女性・女系天皇については、各種世論調査で国民の7割以上が賛成しているという結果が出ていて、潜在的な待望論はとても大きい。また、世界を見渡しても、君主制が残っている国で女性が君主になれない国は、イスラム圏をのぞいてほとんどありません。ここ数年、日本で盛り上がっているジェンダー平等の機運と結びつくと、明治時代に生まれた「万世一系」イデオロギーに基づく男系男子にこだわる考え方は、ますます支持を得にくくなります。
皇后の適応障害が20年近くも治らないことに加えて、一昨年、皇室を出て、海外に拠点を移した小室眞子さんの毅然とした会見からも、日本の皇室は女性が生きづらい場所であることが露呈しています。日本社会がジェンダー平等を追求するのであれば、皇室のあり方についての議論は避けては通れません。
もし皇室の存在がそれを阻む障壁になっていると見られれば、皇室制度そのものをなくした方がよいという意見も出てくるでしょう。天皇と皇后は、新年のビデオメッセージに2人で出演するなど、平成よりも天皇と皇后が対等な姿勢を見せようとしています。令和の皇室は、ジェンダー平等を積極的に進めていることをさらにアピールする必要があるように思います。
(構成/編集部・古田真梨子)
※AERA 2023年1月16日号より抜粋