モモ太(写真)は間違いなくわが家の主役である。ロン毛のチワワ、雄の11歳。ボテッと太った体形のせいだけではない存在感がある。

 めったに人や犬に吠えたこともなく、性格はいたって天真爛漫。子供が大好きで、わが家のピアノ教室に通ってくる生徒を、満面の笑顔で真っ先に出迎える。 レッスンが始まるまで自ら生徒の膝に乗り、絶対に降りようとしない。そんなモモ太を、生徒は犬なのにかわいがりし、レッスン以上に彼と会うことを楽しみにしているようだ。

「モモ太ピアノ教室」なんて名を付けようかと考えてみたこともあった。ピアノやフルートの旋律が流れると、「ワオーン」と歌うように声を張り上げる。人間でいうとカラオケのようなイメージなのだろうか。ことにクラシックのバラード系によく反応する。

 あるとき、近所の人から「モモ太がひとりで向こうのほうに歩いていったよ」と連絡が入った。慌てて捜しに行くと、川沿いの土手のいつもの散歩コースに出掛けてしまっていた。そこは家から数百㍍も離れているうえ、いくつかの信号がある道路の先にある。

 モモ太は女の子に抱きかかえられていて事なきを得たが、よく車にひかれなかったものだと、ほっと胸をなでおろした。

 モモ太は元々大きめであったが、何でもぱくついてしまう。今や6キロ超えで、さながら小型横綱犬である。会う人ごとに「パピヨンとかコーギーですか?」と言われ、「チワワ」と名札を付けたくなるほどだ。コロッとした体形がむしろかわいいと言う人もいるが、メタボが心配の種である。

 チワワの寿命は平均12~14歳ぐらいといわれている。少しでも長生きをして、その笑顔でいつまでも皆を癒やしてほしいと願うばかりである。

(高橋義一さん 埼玉県/66歳/会社員)

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