アリスに授乳中のルル(左、1989年9月)
アリスに授乳中のルル(左、1989年9月)
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 連載「犬ばかばかペットばか」が1500回を迎えました。スタートから30年余。読者の皆さんとペットとの悲喜こもごものエピソードを紹介してきました。特別版の今回は、まず「第1回」に登場した本誌OBが再び「ペットばか」人生をつづります。

【写真】固まって熟睡する猫たちがこちら

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 当欄の前身となる連載「犬バカ猫バカ」の第1回が掲載されたのは、1991年4月5日号。当時編集部員だった私が、編集長から「最初はお前が書け」と言われて執筆しました。

 そのころ、わが家には犬2匹、猫8匹がいましたが、おもに柴犬アリス(メス)について書いています。

 アリスとは89年9月の第1日曜に出会いました。私は2日前に週刊朝日編集部に異動してきたばかりでした。小雨が降る中、中国から密航してきたボートピープルを取材するために東京・池袋の住宅街を歩いていると、ゴミ置き場に捨てられた紙袋の中から動物の鳴き声が聞こえてきました。見ると、生まれたばかりで、まだへその緒がついた子犬が入っていました。

 何らかの理由で間引かれたのだと思われましたが、さてどうするか。雨脚が強くなる予報が出ていたこともあり、そのままにすれば数時間の命でしょう。とりあえず自宅に連れて帰りましたが、あまりに小さすぎて、人間が育てられるとは思えませんでした。

 ちょうどそのころ、わが家では、ごはんをあげていた野良猫のルルが強引に家の中に入り込んできて4匹の子猫を出産し、子育ての真っ最中でした。試しに子犬をルルに託したところ、実の子と一緒に育て始めました。ルルが賢く、物事に動じない性格だったのが幸いしたようです。ルルのおかげで無事に育ったアリスは、生い立ちのせいか、犬としては少し変わった性格になりました。高いところを好み、散歩に行ってよその犬と出会っても平然としているのに、猫を見つけると興奮する……。

 連載第1回はおもにそんな内容で、「十匹もいると家計の負担もバカになりません。飼い主としては、これ以上、数が増えないことを願うばかりです」と締めくくっています。

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