ところが設営でいちばん打ち合わせをしたのは、「照明さんと音響さん」。SMAP時代からライブの演出や構成を担当してきた香取さんならではの個展となっている。たとえば場内に流れる音楽は、草なぎ剛さん主演の映画、『ミッドナイトスワン』の音楽を担当した渋谷慶一郎さんに依頼。「僕のオーダーを優に飛び越えて、場内に24個のスピーカーが埋め込まれていて」と渋谷さん作のプログラミングについて説明した。
「俳優や歌手の仕事に影響があると思って、あまり言わないんですけど」と前置きしながら、何度も「すごい嬉しいんです」と言い、ついには、絵を描くのが「いちばん楽しいんです」と満面の笑み。
『WHO AM I』というタイトルは、色んな顔をもつ自身を誇らしく、ポジティブに思う半面、ネガティブな部分で、一人になったとき、下を向いてしまい、何者なのかと自問自答するときもある、ということから。光と闇、二つのエリアが作られたのもそのためだ。
「とにかく嬉しいんです。じっくり見ていってください」と締めた香取さん。彼がパッション込めて描いた作品に、ぜひ“反応”してほしい。
山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める
※週刊朝日 2022年12月30日号