10軒先のお宅から飼い主の手紙を運んでくる“伝書”リクちゃん(写真、雄)。9年前にはこの欄にも載せていただきました。リクちゃんは今日も家に来ています。この9年間に、リクちゃんの身にもいろいろなことが起こりました。一番の変化は、わが家でも猫を飼ってしまったことです。

 野良猫だったミケを6年前から飼い始めました。この女の子、とても気が強くて、リクちゃんをなかなか受け入れてくれません。

 ミケが自分の家だと安心できるまで、しばらくは申し訳なかったけれど、リクちゃんを家に入れませんでした。ごめんねリクちゃん。ただ、リクちゃんにも自分の家がちゃんとあるので、そこは安心でした。

 リクちゃんが家に入ってもミケがそれほど怒らなくなるまで、1年半かかりました。その間、リクちゃんは文句も言わず、通っていました。今でもミケは、リクちゃんにちょっかいを出しますが、まあ、本気ではないので大丈夫です。

 さて、リクちゃんは、もう19歳。耳が聞こえません。目も見えません。頼りになるのは鼻だけです。それでもひとりで、ほとんど毎日、家まで来ます。

 帰りは、私が抱いて行くか、リクちゃんの家のおじさんが自転車で迎えに来て前かごに入れて行きます。

 8キロあった体重は、今では3キロに。太りすぎの時は、家に来ても何もあげませんでしたが、今は何をあげてもいいことになりました。リクちゃんはミケと違って人の食べ物も好きで、焼き魚とお刺し身が好物です。私は、赤ちゃんにあげるように、骨を取って細かくしてあげます。

 リクちゃんがパクパク食べると、本当にうれしいです。いつまで遊びにこられるかと心配しながら、リクちゃんの訪れを毎日楽しみにしています。

(碓井英子さん 埼玉県/67歳/主婦)

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