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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)さん。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「再び免疫力について」。

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【自然免疫】ポイント

(1)改めて免疫力を高める方法について整理してみた

(2)免疫力を体、心、生命の側面から考える必要がある

(3)体、心、生命それぞれのダイナミズムを上昇させよう

 これから寒さがさらに厳しくなってくると、風邪をひかないか心配ですね。いまはコロナがあるので、発熱しただけで、ややこしいことになります。なんとかその前の段階で留めたいものです。そのために大切なのは免疫力です。これまでも何度か書いてきましたが(2022年2月18日号など)、改めて免疫力アップについて整理してみました。

 免疫とは生体が疾病、特に感染症に対して抵抗する仕組みです。これには大別して2種類あります。生体内の白血球などの働きで生まれる自然免疫と、疾病に感染したり、人工的なワクチン接種で得られる獲得免疫です。

 免疫力を高めるには、自然免疫を高める必要があります。コロナ対策では感染予防やワクチンで獲得免疫を得ることばかりが重視されましたが、免疫力(自然免疫)を高めることがとても大事です。ホリスティック医学の見地からすると、免疫力を高めるには、体、心、生命の側面から考える必要があります。その三つの面からダイナミズムを上昇させるのです。

 まず体ですが、大事なのは適度な運動です。だからといって、ランニングとかは考えなくていいのです。とにかく、朝から晩までこまめに動きましょう。それによって体温も上がります。免疫力にとって体温は重要です。1度体温が下がると、免疫力は30%低下すると言われています。

 体には食事も大事です。これも体を冷やさないものを食べましょう。ビールを飲むにしても、最初の1杯にして、あとは熱燗や焼酎のお湯割りにした方がいいですね。なかなかそうはいかないですが(笑)。そして、腸内環境を整えることが重要です。免疫細胞の60%が腸管に存在していると言われています。腸内環境の低下は免疫力の低下につながるのです。腸内環境のためには、善玉菌である乳酸菌を多く含む食物を食べればいいのです。ヨーグルトなど乳製品、味噌、納豆、ぬか漬けといった発酵食品です。

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