赤道直下に、ナウル共和国という小さな国があります。かつては原住民が昔ながらの暮らしを続けている島に過ぎませんでしたが、リン鉱石という資源が発見されてからは非常に豊かになり1986年に独立します。

 リン鉱石のおかげで、人々は遊んで暮らせるお金を政府から受け取れるようになりました。と同時に、アメリカをはじめとした先進諸国から、コカコーラやハンバーガーに代表される「文明食」が入ってきます。

 仕事をせずにそれらを多食していた人々は、あっというまに糖質中毒になり、8割が肥満という世界のワースト記録を樹立しました。しかも、リン鉱石は発掘され尽くし、いまは最貧国の1つに転落してしまいました。肥満や糖尿病という文明病に溢れただけの、貧乏国家になってしまったのです。

 日本も中国も中東諸国もそうですが、お金があるところには砂糖が運び込まれ、それによって儲けを得る人が出てきます。

 日本人は、もはやコーラには騙されないかもしれません。その代わり「健康にいい」「パワーが出る」「頭がスッキリする」といったうたい文句にはすぐに釣られます。そういうコピーで売られている商品に、砂糖がたんまり入っているものがあるのです。

●それでも現代人が糖質をやめられない理由 ――糖質中毒は薬物中毒と同じ!?

 山で遭難した人たちが命を落とすのは、たいていが低体温症によるものです。体温を保持できて川の水などを飲むことができれば、食べ物がなくても1か月近く生き延びることができます。

 食べ物を摂取できない状態が続けば、肝細胞などに取り込まれていたグリコーゲンが、それも尽きれば脂肪細胞の中性脂肪が燃える(正確に言えば、脂肪をエネルギー源として使い、一部はブドウ糖となって血液中に放出される)ことによって、私たちはエネルギーを得て、血糖値を安定させて命をつなぐことができます。

 逆に言えば、飢えた状態でも生き延びることができ、血糖値は下がりすぎないのです。登山者が非常食としてチョコレートや羊羹など重さのわりに糖質がたっぷり含まれているものを用意するのは、いざとなったときにそれらを口にするのが一番効率的だからです。

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