島根県・松江を拠点に活動するシンガー・ソングライターの浜田真理子さんと、歌手で俳優の小泉今日子さんは、「マイ・ラスト・ソング」という音楽舞台を、もう15年も続けている。「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」など数々のドラマを世に送り出した演出家の久世光彦さんが遺した、同名のエッセイ集を基にしたものだ。公演にあたって、浅草にあるプロマイド写真の老舗・マルベル堂で宣伝用写真を撮影。ライターの和田靜香さんがその時の様子をレポートする。
【写真】浜田真理子さん、和田靜香さん、小泉今日子さん、Marinoさんはこちら
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死がついそこまでやって来ている、その末期の刻に聴きたい歌を1曲選ぶなら? 久世さんは1992年から雑誌「諸君!」にそんなエッセイを連載し、5冊の単行本になった。そこで選んでいた曲を浜田さんがピアノで歌い、小泉さんがエッセイを朗読する。
2008年11月に初演された舞台は好評を博し、それからほぼ毎年のように、東京だけでなく日本各地で行われてきた。今年は5月から6月、全国8カ所で行うことが決まっている。浜田さんと小泉さん、それに浜田さんと音楽活動を共にするサックスのMarinoさんも加わり、3人による舞台となる予定だ。
「だから宣伝用の写真が必要だよね?」
「楽しいのも欲しい。『明星』とか『平凡』の表紙みたいなの」
「和田さんもプロフィール写真撮る?」
「撮る撮る撮る!」
「撮影会を企画しよう」
と、唐突な会話で煙に巻いて失礼します。こんなLINEが浜田さんと小泉さん、そして私の間で飛び交ったのは、小泉さんが浅草にあるプロマイド写真の老舗・マルベル堂でキャリア40年にして初めて撮影したことを記念してイベントを敢行した3月上旬だった。
「写真がすごくいいの。真理子さんも撮ってもらいなよ」
と、今日子さんがLINEに書き込んだのがきっかけだ。あ、ふだん、私は今日子さん、真理子さんと呼んでいるので、ここからはそう書きたい。申し遅れました、私はライターの和田靜香です。今回はレポーター役を務めさせてもらいます。