真理子さんと私は7年ぐらい前、共通の知り合いの個展で、「今から日馬富士の取組」と、失礼にも絵を見ないで相撲中継を見ていた私のガラケーを「どれどれ」と覗き込んできたことからスモ友(相撲友達)になった。その真理子さんのコンサート会場で何度か姿を見かけていた今日子さんが、2021年10月のとある夜、NHKの「おやすみ日本 眠いいね!」という番組で私が書いた本『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』を手に脚本家の宮藤官九郎さんとおしゃべりしているのをSNSで知った。人生には予想だにしないことが起こる。
そんなわけで4月上旬、浅草にあるマルベル堂のスタジオで3人がプロモーション用写真を撮ることになり、私もプロフィール写真を撮るという名目でお邪魔した。
撮影会は「おはようございます」と、午前中から始まった。スタジオにはスターから素人さんまで撮る、マルベル堂店長も兼ねる武田仁さんが、カメラを手に待っていた。現在マルベル堂では、素人も自分のプロマイドを作ることができるのだ。若い助手の方々もいらして、ライトやらをサクサク当ててくれる。102年の歴史を誇るマルベル堂、撮影小道具も豊富で、その後で大活躍していくことになる。
「和田さんから撮影して、それから真理子さん、Marinoちゃんの順がいいよね、和田さんは取材するんだから」
ボンヤリ突っ立ってる私に、今日子さんが段取りをつけてくれる。この日は全体、そうやって進んだ。そもそもこの会の準備諸々も今日子さんがやった。「いろいろお願いしてすみません」とかトボけて言う私に、「うちは『マイ・ラスト・ソング』の製作会社でもありますから!」とドーンと任せろと胸を叩く風。今日子さんは「明後日」という会社の社長でもある。この日も自分で車を運転し、ひとりで来ていた。
「免許は18歳で、手にマメできるほど練習して一発で取った。意外と度胸あるから、取ってすぐ高速で厚木(実家)に帰った」と、今日子さん。