──ポップスを歌った「PLAYBACK SONGS」はご自身で選曲したのですか。
望海:それもあります。布施明さんの「君は薔薇より美しい」は、宝塚時代にそれこそ布施さんの曲を歌ってほしいとファンの方からリクエストされて、いつか歌いたいと思っていた曲です。山口百恵さんの「秋桜」もファンの方からリクエストがあって今回歌ったんですが、難しかったですね。玉置浩二さんの「田園」は私がすごく好きで、いつか歌いたいと思っていたので今回取り入れました。
■エンジン全開の状態
──「LIFE」のコーナーで、「私は音楽が全てだった」というセリフがあります。望海さんにとって音楽とは?
望海:音楽は奥深いですし、本当にいろんなジャンルがあって、まだまだ知らないものがある。世界は広いなって思います。でも、音楽を通して誰かと一緒に歌ったり、音楽をお届けしたり、ミュージシャンたちと音楽を一緒に作っていくことが私はすごく好き。音楽を通して人と人との心を通わせることがとても好きですし、音楽に歌をのせると自分の気持ちがすごく整理されるというか、言葉にできない思いみたいなものをお届けできる。そういう意味で、やはり音楽は自分が何かを表現する上ですごく必要なものだと感じます。
──今回のようなコンサートは、ミュージカルや宝塚の公演とはまた違う難しさがありましたか。
望海:そうですね。ミュージカルは歌う曲に気持ちがのっていたり、ストーリーと曲が繋がっていたりするので、そういう意味で歌いやすくもあるし、歌いにくいところがはっきりわかります。「ここは気持ちを優先しすぎると歌えなくなるから一回冷静になったほうがいい」とか。でも、コンサートはそうはいきません。1曲ずつきちんとそのストーリー、自分の中で背景を全部生み出さなければいけない。歌ったことがない作品をどうやって自分の世界に取り込んでいくか、どう作っていくかはやはり難しかったです。
──いよいよ今年は本格的にデビュー20周年を迎えます。今後どんなことをやっていきたいと考えていますか。
望海:特別何か変わることはないのかなと思うのですが、こうやってコンサートをさせてもらい、大好きなブロードウェイ・ミュージカル「ドリームガールズ」にも出演できる。すごくエンジン全開という状態です(笑)。まだまだ知らない扉を開けていきたい、冒険したいという気持ちです。
(構成/フリーランス記者・坂口さゆり)
※AERA 2023年1月16日号