2021年4月に宝塚歌劇団を退団した元トップスター・望海風斗。初舞台から20周年を記念して昨年10~11月に開催し、WOWOWで1月15日に放送・配信するコンサート「Look at Me」に込めた思いを聞いた。AERA 2023年1月16日号より紹介する。
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──今年4月で芸能生活20周年を迎えられます。この20年を振り返って何を思いますか。
望海:宝塚時代は一年一年、1作ごとにいろんな出会いがあり、ここまで来られたのだと改めて感じています。一つでも出会いがなかったら、こうはなってなかっただろうなと思うくらい、全てに思い入れがあります。一つひとつの作品の中で、すごく成長させてもらえる機会をたくさんいただけたと感じています。
──宝塚歌劇団で18年過ごし、2021年4月に退団されました。退団後のキャリアはどのように考えていたのですか。
望海:全然考えていなかったです。というか考えられなかったです。もう一つの自分の人生の終着点ではないですが、宝塚に入って男役になり、トップになりたいと覚悟を決めてから、ずっとそのことばかり考えて生きていました。実際にトップになって、みんなで作品を作ることを楽しみながら、どこかで次にバトンを渡していかなければいけないこともわかっていました。それで終わり(退団)を決めるわけですが、その後については考えることができなかった。今を楽しみたいから辞めたら考えようって思っていました。それが、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大で退団の時期が延び、時間ができてしまった。そこで初めて考えました。
■まだ舞台に立ちたい
──その時にどんなことが浮かんだのですか。
望海:舞台にはもう立てないなと思ったんです。舞台に立つのはすごく緊張します。人前に出ることがどれだけ大変なことか宝塚でわかっていたので、この緊張をずっと続けていくことはできないと。しかも、宝塚なら知っている仲間と一緒に作品を作れますが、辞めたらそうはいかない。毎回初めましてのカンパニーでは私はできないと。なので勉強をし直して、宝塚で今後のタカラジェンヌに何か貢献できることを探したいと思っていたんです。