でも、新型コロナで公演がストップした時に、舞台に立てないつらさがわかりました。舞台では、出演者同士、ファンの方もお客様も、その日のエネルギーをみんなで交換し合える。普通に生きていたら人と人とがこんなに濃い感情を毎日渡し合わないだろうということが劇場ではできる。自分にとってそれがすごく大事なことだと感じた時に、「まだ舞台に立ちたい」と素直に思いました。そういうきっかけをもらえたという点では、コロナの巣ごもり時間にも意味がありました。

──昨年10月に行われた、宝塚入団後の初舞台から20周年を記念したステージにつけた「Look at Me」というタイトルへの思いを教えてください。

望海:子どもの頃からの自分を振り返って、私の原点にあった「私を見て」というところからスタートしています。小さい時から音楽、歌うことがすごく好きでした。今回そんな記憶を取り入れてもらったという意味でも、宝塚を退団して芸能生活20周年を迎える今の私を見てもらおうという意味でも、ぴったりなタイトルだったと思います。

作品を味わってほしい

──今回のステージは、半年で歌番組を打ち切られたディレクターのひかり(望海)が、最終日にADに促され、自分自身が本当にやりたかった歌謡ショーに挑戦する、という内容ですね。ブロードウェイ・ミュージカルの曲を歌う「BROADWAY MELODY」、日本の過去のヒット曲を歌う「PLAYBACK SONGS」、そして「LIFE」というコーナーでは「音楽が全てだった」と言うひかり自身の人生に迫ります。この構成にはどんな思いが込められているのでしょうか。

望海:ブロードウェイのナンバーもそうですが、とくに「LIFE」では私が出演した宝塚作品に関連する曲を選びました。コロナ禍で公演がストップしたものや配信だけになったものも入れることで、コロナ禍で公演を見られなかった方にも、1場面でも1曲だけでもその作品を味わってもらいたいと強く思ったんです。「ガイズ&ドールズ」もコロナ禍で止まってしまい、見られなかった方も多かったと思うので「LIFE」では「アデレイドの嘆き」を歌いました。

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