午前5時、ニャアという雄叫びと共にドドドッと足音がした。夢うつつの私は身構える暇もない。7キロの塊がベッドに飛び上がり、私の体の上を一気に駆け上がって出窓に飛び移った。グエッ。もろに腹部を蹴られた私はたまらない。
こいつ(写真)は名前を「福」という。2歳の雄である。福は、象潟漁港に数カ月停泊していた漁船の中で生まれた。母猫アキコは漁師さんたちに「福猫」として人気があった。ある時、アキコが乗っていたのを知らずに出漁した船が大漁で、それが2度続いたというのである。
アキコは停泊中の船の中で出産し、3カ月ほどたったころ、子猫を連れて船から陸に上がった。その時に、私は知人の漁師さんから「福猫が産んだ猫だから福を持っている。連れていけ」と厳命され、象潟まで引き取りに行ったのだった。
まだ子猫だった福をエサで釣って出てきたところをエイヤ!と捕まえたのだが、抵抗が激しく、怒ったアキコの逆襲もものすごくて、流血の大惨事になってしまった。
今や巨大な猫になった福には、彼が絶対服従する小雪という姐さん猫がいる。この小雪が、毎朝、私が福に蹴飛ばされる原因なのだ。
小雪は現在、家出敢行中なのだが、空腹になると帰ってくるというわがまま猫だ。小雪が来ると福は真っ先に気づいて窓際へ走り、早く窓を開けろと私を見ながらニャアと鳴く。無視するとわざわざそばまでやって来て、ガラス玉のような緑色の目でじっと見つめながら、またニャアと鳴く。
それが一日中、何回も繰り返され、ついには朝の襲撃となった。
平日はそれでも目覚まし代わりになるのでいいのだが、ゆっくり寝ていたい土日は勘弁してほしいと思っているこの頃である。
(佐藤昌子さん 秋田県/62歳/パート)
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