『大人も知らない? サバイバル防災事典』サバイバル防災研究会,国崎信江,森のくじら マイクロマガジン社
『大人も知らない? サバイバル防災事典』サバイバル防災研究会,国崎信江,森のくじら マイクロマガジン社
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 新学期が始まり、行動範囲が広がるお子さんも多い時期。日常生活や外出先、アウトドアレジャーなどで、子どもがアクシデントに直面する可能性を心配する親もいるでしょう。地震や火事といった自然災害はもちろん、海で溺れたり熱中症になってしまったり、はたまた下校時に不審者に遭遇したり......。そうした際に子ども自らが生き残るためにはどうすればよいか、そのサバイバルテクニックを幅広く紹介するのが書籍『大人も知らない? サバイバル防災事典』です。

 たとえば、日本は災害が多い国ですが、なかでもいつ起きてもおかしくないのが地震です。同書では「Part1 地震のサバイバル編」として、一章まるごと使って地震時のサバイバル術を取り上げています。「学校帰りに大地震がきたら、どうすればいい?」「お風呂に入っているときに大地震がきたらどうする?」など見出しが質問形式になっているパートもあるので、子どもにクイズを出す形で親子で一緒に読むのもいいかもしれません。

 また、家族が離れているときに地震に遭ったらどこに集まるかなどは家族全員で確認しておきたいことです。「海や山で地震に遭ったら」「地震の後に建物の中に閉じ込められてしまったら」といった際の対処法は大人でも知らない人が多いかと思います。同書のタイトルに「大人も知らない?」とつけられているように、大人も身につけておきたい知識やテクニックがたくさん詰まっています。

 このほか、Part2では気象災害、Part3ではアウトドア、Part4では日常についてのサバイバル術が記されています。意外と知らないのが、日常生活でのピンチの対処法かもしれません。「学校帰りに知らない人に話しかけられた」「エレベーターで知らない人とふたりきりでこわいな......」などの事例は、少し大きくなった子どもを持つ親であれば誰もが心配するものではないでしょうか。

 また、ネット社会である現代では「友達がSNSに私の写真を勝手にアップしてる」「ゲームの攻略サイトを見ていただけなのに会員登録されたみたい」といった、ひと昔前にはなかったようなトラブルも起きがちです。24時間ずっと親がつきっきりでいることはできないからこそ、こうしたアクシデントに遭った際に子ども自身で乗り切る術を知っておくことも非常に大切だと言えます。

 「はじめに」で「大きなケガや命が奪われてしまいかねないこわい事態も、どこに危険があるのかを知ってあらかじめ注意する行動をとれば、回避したり小さなケガですませたりすることができます」(同書より)と伝えている同書。「防災」についていま一度話し合うために、ぜひ親子で一緒に読んでみてほしい一冊です。

[文・鷺ノ宮やよい]