DeNAのユニフォームで躍動するビシエド(写真/日刊スポーツ)
DeNAのユニフォームで躍動するビシエド(写真/日刊スポーツ)
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 シーズン途中で加入した選手が活躍するのは難しい。新たな環境にアジャストし、チームに求められる役割をまっとうしなければいけない。その中で活躍が光るのが、昨年まで中日に在籍し、7月19日にDeNAが今季の契約を電撃発表したダヤン・ビシエドだ。

【写真】豪快なフォームで安打を放つビシエド

 入団にあたってビシエドは、球団を通じて次のようなコメントを発表した。

「ベイスターズから声をかけていただいたときは、とても嬉しく思いました。また日本に戻ってくることができたので、しっかりと自分自身がまだできることを証明したいと思います」

「まだできることを証明したい」というのは率直な思いだろう。中日で9年間プレーし、2018年には打率.348で首位打者、最多安打(178本)のタイトルを獲得するなど、主軸として活躍してきた。しかし、近年は成績が下降気味で「限界」ともささやかれ、昨年は同じ一塁を守る中田翔、中島宏之を補強したこともあって出場機会が激減。15試合出場にとどまり、打率.209、1本塁打、2打点。昨オフに退団した後は日本球界での現役続行を望んだが叶わず、今年はメキシカンリーグでプレーしていた。

 DeNAへの入団にあたっては活躍に懐疑的な見方も少なくなかった。しかし、迷いのない豪快なスイングで健在ぶりをアピールしている。「5番・一塁」でスタメンに抜擢された8月17日の中日戦では、2回にかつての同僚・松葉貴大の直球をとらえてバックスクリーン左へ今季1号ソロ。これで12球団からの本塁打を達成し、古巣の中日ファンからも大きな拍手が注がれた。23日の巨人戦では、9回にカイル・ケラーの直球を振り抜くと、弾丸ライナーが左翼席に突き刺さった。26日の阪神戦では1点ビハインドの9回裏に先頭打者として代打起用され、42試合連続無失点の日本記録を更新中の石井大智のスライダーを左前にはじき返す安打で出塁。その後、1死満塁の好機を生かせずチームは敗れたが、逆転していればビシエドは勝利の立役者になっていた。

 他球団のスコアラーは「良い状態の時のビシエドに戻ってきている。元々はライナー性の打球を打つ中距離打者でしたが、中日で首脳陣の助言を受けてスイング改造に乗り出した昨年は打球に力強さを失っていました。『速い球に弱い』と指摘されていましたが、直球を苦にしていたらケラーから本塁打を打てません。まだまだ十分にできると思います」と分析する。

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