勝負を決める打者になれば主軸にも

 リチャードが本塁打を広角に打てるのは稀有な才能だ。阿部監督はその能力を高く評価し、7月下旬から三塁で起用。岡本和真が故障から復帰した後は一塁でスタメン起用している。ただ、7番など下位を打つ試合が多いのは、まだクリーンアップを打つ水準に至っていないという評価なのだろう。

 今オフに岡本がポスティングシステムでメジャー挑戦の可能性があることを考えると、巨人はチーム作りを見直さなければいけなくなる。スポーツ紙デスクは「岡本の後継者として期待されるのがリチャードです」と期待を込める。

「12球団を見渡した時、30本塁打をクリアできる能力を持った選手は一握りです。巨人では岡本をのぞけば、リチャードぐらいでしょう。浅野翔吾も将来の中心選手になってもらわなければ困る選手ですが、本塁打をガンガン打つ主砲というタイプではない。リチャードに求められるのは本塁打と勝負強さですよね。4打数1安打でもいいので、勝負を決める打者に進化すれば主軸を張れます」

「二軍の帝王」と言われ続けたリチャードだが、ようやく1軍で素質が開花しつつある。今季は得点圏打率も.324と高く、2ストライクに追い込まれた後にファウルで粘るなど凡打に倒れた打席でも成長の跡が見られる。8本塁打はすでに1軍での自己最多を更新しているが、本来の力を考えればまだまだ足りない。2ケタ本塁打を通過点に、どこまで本塁打を量産していけるだろうか。

(ライター・今川秀悟)

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