試合前にリチャード(左)に打撃指導する阿部慎之助監督(写真/日刊スポーツ)
試合前にリチャード(左)に打撃指導する阿部慎之助監督(写真/日刊スポーツ)

メジャーに多い低打率の長距離打者

 ソフトバンク時代から取材するライターはこう語る。

「ソフトバンクのファームでも打率が2割台前半と確実性がある打者ではありませんでした。これからコンタクト能力が劇的に上がるとは考えづらい。打率2割5分に届けば十分じゃないですかね。ただ、30本塁打をクリアすれば十分に貢献できますし、本塁打王も狙える。メジャーリーグではカイル・シュワーバー(フィリーズ)のように低打率でも本塁打を打つことに振り切った選手がいる。リチャードも打率を過度に意識せず、長打力に特化したスタイルを目指した方がいいかもしれません」

 シュワーバーは今季45本塁打を放ち、ナ・リーグで大谷翔平(ドジャース)と熾烈なタイトル争いを繰り広げているが、打率は.247と低い。昨年までのメジャー通算打率は.230で、3割に届いたシーズンはないが、通算284本塁打、652打点をマーク。23年は打率.197ながら、47本塁打、104打点を記録。打率1割台で40本塁打以上、100打点以上はメジャー史上初だった。

「シュワーバーは三振が多く、23年もリーグワーストの215三振を喫しましたが、126四球を選んで出塁率は.343でした。メジャーでは打率より出塁率が重視されるので、シュワーバーの働きぶりは評価されています。この点は日本と評価基準が違うかもしれません」(米国の通信員)

 ア・リーグの本塁打王争いでアーロン・ジャッジ(ヤンキース)に10本差をつけて独走しているのは、捕手でメジャー初の50本塁打に到達したカル・ローリー(マリナーズ)。ローリーも今季の打率は.247で、メジャーで2割5分を超えたシーズンがないが、スイッチヒッターで本塁打を量産している。

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