本塁打を放ってチームメートに迎えられるリチャード(写真/日刊スポーツ)
本塁打を放ってチームメートに迎えられるリチャード(写真/日刊スポーツ)
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 リーグ連覇が厳しくなった巨人で、明るい材料が本塁打を量産しているリチャードだ。直近の7試合で4発(8月26日時点)。目を見張るのが打席内容だ。

【写真】リチャードをマンツーマン指導する巨人・阿部慎之助監督

 8月19日のヤクルト戦では、移籍後初の満塁アーチを放つなど4安打6打点の大暴れ。22日のDeNA戦では7回2死一、二塁の好機に、三嶋一輝の外角高め146キロ直球を右中間スタンドに叩き込んだ。打った瞬間に本塁打と確信したのだろう。打球の行方を見守ってから走り出した。規格外の一発はこれで終わらない。24日のDeNA戦では、5回に竹田祐のフォークを振り抜くと、打球は左中間席上部の「太田胃散」の看板を直撃。前日に母校の沖縄尚学が甲子園で同校初の全国制覇を飾ったことも良い刺激になっただろう。球場がどよめく中、ダイヤモンドを一周した。球団公式Xによると、飛距離は147メートルだった。

 他球団のスコアラーはリチャードの打撃をこう評価する。

「スタメンで試合に出続けることで、リズムをつかんでいる部分があるでしょう。バットがスムーズに出るようになり、結果が出ることで自信をつけているように感じます。実際、甘く入ったらスタンドに運ばれる怖さがある数少ない打者です。ホームランアーティストとしての才能は佐藤輝明(阪神)、村上宗隆(ヤクルト)、岡本和真(巨人)、山川穂高(ソフトバンク)に匹敵するでしょう」

 ソフトバンクではウエスタンリーグで5年連続本塁打王に輝いたが1軍に定着できず、今年5月のシーズン途中に秋広優人、大江竜聖との電撃トレードで巨人に移籍した。即座に1軍で出場のチャンスをつかんだが打率は0割台まで下がり、6月13日に登録抹消。しかし、ファームで打撃を見つめ直し、7月8日に再昇格すると、阿部慎之助監督が打撃練習で連日指導しつつ、我慢強くスタメンで起用するうちに快音を放ち始めた。

 49試合出場で打率は.198と1割台だが、本塁打を連発し始めたリチャードをどう判断するか。

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