名簿があれば手当たり次第に電話する
これまで、振り込め詐欺の「かけ子」や「出し子」などに話を聞いたことがあるが、
「LINEに誘導されることが多い」
と聞いていたため、動画撮影の準備もしていたが、そうはならなかった。どうやら、マニュアル通りに振り込みまでいけなさそうだと認定され、途中で追い込みがストップされたようだった。
振り込め詐欺で捕まったことがあるAさんに録音を聴かせると、こう話してくれた。
「私の経験から、着信にある88から始まる番号はおそらくタイかカンボジアから電話をしていると思いますね。これと同じようなマニュアルがありました。最初に『警視庁』が優しく話をして、次の『県警』が今にも逮捕という危機感をあおる。私がやっていた時は100人やれば1人か2人、15分から30分程度の会話でLINEに誘導して、『被害金額の一部でも払えば罪が軽くなる、特別な措置ができる』とウソ八百並べて、カネを振り込ませることができた。『名簿』があれば手当たり次第に電話します。けど今西さんのようなメディアの人に電話して録音されるなんて、どんな名簿を使っているのか」
念のため、警視庁に電話をかけて、ことの顛末を説明すると、
「それは振り込め詐欺です。絶対に相手にしないようにしてください」
とのことだった。
Aさんはこうも話していた。
「今西さんが一連の顛末の記事を書けば、振り込め詐欺の連中は即座に反応しますよ。録音を公開すればさらに驚くでしょうね。反省会とか言って手法を変えてまた研究する。ただ基本的には架空の話で怖がらせてカネを振り込ませるだけ。落ち着いて対応するかすぐに電話を切れば、振り込め詐欺は防げます」
振り込め詐欺には十分ご注意ください。
(AERA編集部・今西憲之)
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