第6話の場面から(c)テレビ朝日
第6話の場面から(c)テレビ朝日
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 阿部サダヲ×松たか子主演の“マリッジ・サスペンス”「しあわせな結婚」(木曜夜9時、テレビ朝日系)。第6話の終盤でついに、鈴木ネルラ(松たか子)の元婚約者である布勢夕人(玉置玲央)の死に関わった人物が自首する。出頭したのはネルラ、弟のレオ(板垣李光人)の叔父にあたる人物・考(岡部たかし)。次回7話の予告編でも語られていた通り、布勢に襲われるネルラを助けるため、背後から布勢を殴ったという。しかし、これで事件が収束すると考える視聴者は少ないだろう。

【写真】犯人説が浮上の黒川刑事を演じるのは?

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黒川刑事=真犯人説は成立するか?

 布勢の後頭部には“二つの傷”が確認されており、考の一撃だけで即死したとは言い難い。つまり、考の供述は“真相の一部”に過ぎず、もう一人の加害者が存在する可能性が濃厚なのだ。

 この違和感こそ、物語をサスペンスたらしめる最大の仕掛けである。

 ネルラの父・寛(段田安則)や考が真犯人ではないと仮定すると、可能性として考えられるのは、15年前の事件を再捜査している刑事・黒川(杉野遥亮)ではないだろうか。彼はネルラを執拗に追い続けているが、その動機が“職務”だけでは説明できない。黒川は、ネルラに対して恋情に似た執着を抱いていることが示唆されている。事件に自身が関わっているのが執着の理由だとすれば、腑に落ちる。

 しかし、黒川が現場に駆けつけたのは「布勢が死亡した後」とされている。ネルラ自身からの通報を受け現場に駆けつけたのだとしたら、黒川真犯人説を唱えるのは無理がある。

 だが、その到着時刻を保証するのは、当時、交番勤務だった黒川の証言にすぎない。彼は自らの関与を隠すことも可能である。

第6話の場面から(c)テレビ朝日
第6話の場面から(c)テレビ朝日

 布勢の後頭部に残る“二つの傷”のうち、一つは考が与えた。ではもう一つは? もし黒川が現場に偶然居合わせ、ネルラを守るために布勢を殴り、結果的に死に至らしめたのだとすれば……。

 しかし、彼は第6話で「もう奥さんに引きずり回されるのはやめます」と、ネルラの夫である幸太郎(阿部サダヲ)に語っている。ネルラを“危険な存在”とみなし、ついに手を引くことにしたのだろうか。この発言は彼が真相に深く関わっている伏線のようにも思える。

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