「大日本人」(2007)を撮影中の松本人志(写真:Everett Collection/アフロ)
「大日本人」(2007)を撮影中の松本人志(写真:Everett Collection/アフロ)

映画事業だけで莫大な赤字?

 もっとも、「ダウンタウン」や松本の実績は認めつつも、「事業としては厳しい」との見方もある。ITライターはこう語る。

「まず考えるべきは『ダウンタウンチャンネル』は利用することにお金がかかる有料コンテンツだということ。やはり無料と有料の壁はありますし、この手の芸能人、著名人によるコンテンツは人気や知名度がそのまま成果につながるとは限りません。『ダウンタウンは好きだけどお金を払ってまでは……』というファンも当然いるでしょう。昨今は、ライブ配信アプリなどで知名度が低いライバーや地下アイドルなんかが“投げ銭”で大金を稼いでいますが、その背景には『夢を応援してあげたい』『自分たちが支えてあげよう』というファンの“熱量”がある。その点、『ダウンタウン』の2人はすでに芸能界で大成功を収め、かなりの財産も築いていますから、そうしたファンのエネルギーはそこまで期待できそうもありません。仮に、最初はある程度の課金ユーザーが集まったとしても、コンテンツの中身だけでその“数字”を長期的に維持するのは至難の業ですし、吉本サイドもかなりの投資をするでしょうから、ビジネスの規模感を考えても難しさはあると思います」

 そうした中、思い起こされるのがかつて吉本が莫大(ばくだい)な投資をした松本による映画事業だろう。

 バラエティー番組を手がける放送作家はこう振り返る。

「松本さんと吉本が手がけた映画事業が大ゴケしたのは覚えている人も多いでしょう。吉本は2007年公開の『大日本人』をはじめ、松本さんが監督を務めた映画4本に莫大な投資をしました。映画の製作費は1本あたり10億円以上と言われ、その流れで『沖縄国際映画祭』の運営にも長年携わるなどした結果、映画事業だけで莫大な赤字を出したと言われています。主導したのが『ダウンタウン』のマネジャー出身で当時社長だった大崎洋氏ということもあり、『さすがに映画に金をかけすぎ』『お笑いだけやっていればいいのにまた赤字ちゃうんか』など、水面下では、所属する芸人など内部からも疑問の声が出ていました」

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