
チームの命運を握る長距離砲
「投高打低」が顕著になっている中、長距離砲の活躍がチームの命運を左右している。セ・リーグ首位を独走する阪神は佐藤輝明が打率.277、31本塁打、76打点をマーク(8月21日時点)。本塁打、打点でリーグトップを独走し、首位打者も狙える位置につけている。一方で巨人は主砲の岡本和真が左肘靭帯損傷で長期離脱した影響で得点力が大幅にダウンし、リーグ連覇が厳しい状況だ。村上宗隆が上半身のコンディション不良で大幅に出遅れたヤクルトも最下位に低迷している。
27年からセ・リーグで指名打者が導入されることも、佐々木を指名する上で追い風になる。
「今までは守れない選手をセ・リーグで先発起用することが難しかったが、打撃に特化した選手を起用できるようになり野球が変わる。巨人は岡本、ヤクルト村上が早ければ今オフにメジャー挑戦の可能性が高いために後継者が欲しい。パ・リーグの球団にとっても魅力的な選手です。複数球団の1位指名が十分に考えられます」(スポーツ紙デスク)
すでに巨人、西武など複数球団が佐々木の出場試合を米国で視察したことがメディアで報じられている。セ・リーグ球団の元編成担当は、こう語る。
「今秋のドラフトで佐々木を指名して交渉権を獲得した球団は、NPBでプレーするメリットを説明する必要があるでしょう。成績次第では数年後にポスティングシステムでメジャー挑戦を認めるプランを提示するかもしれない。スタンフォード大学の卒業を希望する場合は、授業を受けるためのバックアップも必要になってくるでしょう」
高卒後すぐにメジャー挑戦すると表明していた大谷翔平(ドジャース)を、日本ハムがドラフト1位で指名したのは13年前にさかのぼる。大谷は入団に消極的な姿勢を示していたが、日本ハムは何度も交渉を重ね、NPBで実力をつけてメジャーでプレーしたほうが活躍する確率が高いと説明。投手と打者の二刀流での育成プランを提示するなど熱意を伝え続け、大谷は日本ハム入団を決意した。
前出のセ・リーグ球団の元編成担当が振り返る。
「大谷のその後の活躍を見れば、『なぜドラフト1位で指名しなかった』と言われますが、あの時は米国で挑戦する意志が固いと思っていましたし、日本球界でプレーすることが想像できなかった。他の1位候補に大学№1投手の東浜巨(ソフトバンク)や大谷に負けないスケールを持った藤浪晋太郎(DeNA)がいましたし、入団の可能性が低い大谷の指名は考えられなかったですね」