
今秋のドラフト指名の有力候補として、米国・スタンフォード大学の佐々木麟太郎が急浮上している。NPB(日本野球機構)がMLB(メジャーリーグ機構)に確認を取り、今年のドラフト指名に問題がないことを12球団に通知した。複数球団がすでにリストアップしている模様だ。
佐々木は花巻東高校で史上最多の高校通算140本塁打をマーク。2023年秋のドラフト1位候補とみられていたが、プロ志望届を出さず、国内の大学にも進まず、24年秋から米国の名門校・スタンフォード大に進学する道を選んだ。今年5月に米国で1年目のシーズンを終え、52試合出場で打率.269、7本塁打、41打点をマークした。
アマチュア球界を取材するライターは、佐々木について次のように語る。
「理路整然と自分の言葉でビジョンを説明できる選手です。花巻東のチームメートや関係者に聞いても『麟太郎は真面目。しっかりしている』と口をそろえます。米国の大学に進学して英語で授業を学びながら、野球と両立させるのは並外れた努力が必要です。佐々木はメジャーリーグでプレーすることが目標なので、その道筋に向けてNPBでプレーするという選択肢を設定するか注目されます」
MLBのドラフトでは、4年生大学の学生は2年生修了または21歳になると指名対象になる。来年4月に21歳になる佐々木は、7月のMLBドラフトの指名対象となるが、その前にNPBの各球団は今秋のドラフトで指名できることが確認された。ただし、佐々木はMLBでのドラフト指名を目標としてきた。日本の球団が指名をしてもMLBドラフトまで入団を保留した場合は半年以上待たなければいけないし、MLBドラフトで指名され入団を決めれば、交渉をあきらめることになる。
だが、セ・リーグ球団の編成担当は「入団するか不透明ですが、それでもドラフトで指名する価値がある選手です」と強調した上で続ける。
「まだまだ打撃が粗削りですが、ボールを遠くへ飛ばす能力は村上宗隆(ヤクルト)、岡本和真(巨人)に匹敵する逸材です。スラッガーを育てるのは簡単ではないですが、強打者として覚醒すればチーム力が一気に上がる」