
中日のドラ1左腕・金丸夢斗が開幕から4連敗と苦しんだあと、10試合目の登板となった8月7日の阪神戦で8回を3失点に抑え、うれしいプロ初勝利を挙げた。そして、金丸以前にも、最初はなかなか勝てなかったが、試練を乗り越え、後に大逆襲をはたしたドラフト1位の投手たちが存在した。
まず記憶に新しいのが、西武のドラ1左腕・隅田知一郎だ。
2022年3月26日のオリックス戦、開幕2戦目でプロ初先発初登板をはたした隅田は、7回を1安打無失点、二塁も踏ませぬ快投でプロ初勝利を挙げた。
ところが、その後は好投しながらもリーグ最低打率の貧打線に見殺しにされ、新人投手ではパ・リーグワーストの10連敗でシーズン終了。“12球団で最も不運な投手”と言われた。
翌23年も開幕ローテ入りしながら、4月5日の楽天戦、同12日のロッテ戦と連敗し、球団ワーストとなるシーズンをまたいでの12連敗となった。
だが、4月19日のソフトバンク戦で、6回を1失点に抑え、389日ぶりのプロ通算2勝目。「昨年からずっと我慢して応援してもらっていた。やっと、こうやって勝つことができてうれしい。(プロ)初勝利の時と同じぐらいうれしいです」と喜びをあらわにした。
同年はチームで3番目の22試合に登板し、9勝10敗、防御率3.44を記録。昨季も今井達也、武内夏暉の10勝に次ぐ9勝を挙げ、先発三本柱に成長した。
西武のドラ1新人といえば、1979年の森繁和も0対1で2度負け投手になるなど、好投報われず、開幕から泥沼の7連敗。チームも開幕から1分けを挟んでNPBワーストの12連敗と勝利の女神にそっぽを向かれ、知人から「近鉄や阪急にいたら、3勝はしているよ」と慰められたという。
だが、次の先発は5月10日の南海戦だったのに、予定を1日早めて9日の同一カードで先発するよう、当日の朝、根本陸夫監督から突然告げられたことが、幸運を呼び込む。
「それが良かった。昨夜は(先発の緊張もなく)ぐっすり眠れたので、コンディションが良かった」(森)。