「オースティンが故障で稼働していなかったので、一塁を守れるパワーヒッターが必要と判断しましたが、フォードとビシエドの2人を獲得する必要があったでしょうか。藤浪も球団フロントが再生の自信があったから獲得に踏み切りましたが、制球難で苦しんでいる期間が長いことを考えると残りのシーズンで劇的に改善することはイメージしづらい。実際に今月6日のイースタンリーグ・巨人戦では4回途中までに8安打7四死球5失点の乱調でした。ファームで結果を出しているとは言えない状況で1軍合流が報じられましたが、気になるのは若手のモチベーションです。ファームで結果を残している小園健太に、1軍の先発でチャンスを与えてもいいと思うのですが……」

 DeNAの先発陣は東克樹、ジャクソン、ケイの強力な3本柱に加え、2年ぶりに復帰したバウアーがチームトップの124イニングを投げている。だが、来季以降を考えると大きな不安を抱える。ケイは今オフにメジャー復帰の可能性があり、ジャクソンも複数球団の争奪戦に進展するかもしれない。バウアーはメジャー復帰の可能性を模索しており、来年の契約延長は不透明だ。

低迷期に戻ってしまう危機感を

「DeNAは近年のドラフトを見ると、1軍に定着した投手、野手が少ない。昨年の日本一で期待値が高かっただけに、就任5年目を迎えた三浦大輔監督への風当たりが強くなっていますが、監督交代でチーム状況が好転するという単純な話ではないと思います。ドラフト、選手の育成方針を含めてチーム戦略を見直さなければ、低迷期に戻ってしまう危機感を持った方がいいでしょう」(前出のスポーツ紙デスク)

 目指すのは長丁場のペナントレースを制してリーグ優勝だが、阪神が首位を独走している状況を考えると、昨年のようにCSに進出して「下克上」を目指すのが現実的な道筋になる。大黒柱の牧秀悟が左手の「左MP関節尺側側副靱帯修復術」の手術を行い、シーズン中の復帰が絶望的な中でどのような戦いを見せるか。選手の起用法を含め、三浦監督の手腕が問われる。

(ライター・今川秀悟)

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