長女と私だけのコミュニケーション

 前回の療育手帳の更新は2021年でした。この時にはもう「長女を良く見せよう」という気持ちはまったくなかったので、長女は検査室に入室してからもかなりリラックスしているように見えました。検査が始まる時に私がDVDを切ると、長女は私の顔を見て不快そうな声を出しました。私が「お歌はまたあとでね」と言うとさらに怒り、「終わったらパンダうさぎコアラ(長女が大好きな歌)にしようね」と言うと「ふーっ」と声を出してニコリ。

 そしてDVDをしまうために荷物を置いた場所へ向かおうとすると、私を追って「まぁま!」と呼びました。これは長女と私だけのコミュニケーションの取り方であり、誰でも同じように長女の感情を理解できるわけではないため、おそらく評価としては点数にならないことなのですが、一緒に生活する上ではこれだけでも十分意思疎通は成立するのです。

 そしてこの時のやり取りを見ていた公認心理師さんに「ゆうちゃんはママのことが大好きで、ママはゆうちゃんをとってもかわいがっていて、みんなに愛されて育っているのが伝わってきました」と言っていただき、この言葉こそがすべてで、判定結果で一喜一憂していた頃の自分に伝えたいと思いました。

長女が笑ってくれていれば

 知的障害が認定される療育手帳の取得は、身体の機能障害が認定される身体障害者手帳の取得よりずっと心のハードルが高く、さらに最初に最重度のA1判定が出たときは長女はまだ3歳だったため、分かっていながらも当時は少なからずショックでした。

 でも今は、公的な判定は今後の手当などの目安として必要ではあるものの、目の前で長女が大きな口を開けて笑ってくれていればそれで良いのだと思っています。

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