
小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(32)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA DIGITAL連載。今回は、海外のオーケストラとの共演を通して学んだコミュニケーション術などについて教えてくれた。
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Q. 廣津留さんは海外のオーケストラとの共演もされていますが、コミュニケーションをとる際に気をつけている点や心がけていることがあれば教えてください。語学力だけではないコミュニケーションのポイントのようなものはあるのでしょうか。
A. 海外では演奏後に共演者とハグをしたり、「イエーイ!」と声を上げてお互いをたたえあったりするのは普通の光景です。海外の人と共演する際は、そうした非言語のコミュニケーションは忘れないように心がけています。自分から握手をしに行ったり、「いい演奏でしたね」など感想を伝えたりするようにしていますね。言葉をかける際も、ジェスチャーなどを意識して交えて、非言語の部分も含めて気持ちを表すようにしています。
海外から日本に来る人たちは「日本人はシャイな人が多い」ということは知っているはずなので、そこまで求められていないとは思いますが、そうしたコミュニケーションが全くないと、あまり信頼してもらってないのかもしれない……と、不安になる人もいると思うんですよね。やっぱり、いつものやり方でコミュニケーションできるほうが心地いいんじゃないかな。こちらから歩み寄っていることが伝わると安心してもらえるし、スムーズにコミュニケーションもできて信頼関係も築けると思うんです。
私が海外の音楽祭や公演に招かれる側になったときも、共演者が「アリガトウ」「カンパーイ」などの簡単な日本語で話しかけてくれるだけで、日本のカルチャーに興味がありますよというウェルカムな気持ちが伝わってきて、うれしいものです。