ネット上では、それぞれの倫理観や正義感に基づいて「悪い外国人」を認定し、集中砲火を浴びせるケースが目立つ。その多くが、「自分たちは排外主義者ではなく、悪い外国人に去ってもらいたいだけ」「国が必要な法律を整備しないから外国人が好き勝手にしている」と「正当性」を主張し、それがまた多くの支持を集めているように映る。
こうした流れを変えるには、日本人が「受け入れがたい」と考える外国人の行動を法的に規制することによって、それぞれの尺度で「悪い外国人」をジャッジしようとする機運や意識を断つしかない、というわけだ。もちろん「外国人だから」という理由だけで法規制に乗り出すのであれば、国際常識や人権問題に照らし、相応の妥当性を慎重に判断しなければならないのは言うまでもない。
そのうえで、日本が早急に整備すべき「外国人政策」の一つとして青山さんが挙げるのが、不動産取得に関する規制だ。永住権を持たない外国人の住宅購入を禁止したり、制限したりしている国は少なくない。シンガポールでは、外国人の不動産取引をめぐる「事実上の二重価格化」が導入されているという。
「不動産価格は需給で決まるため、外国人に限定して割高な価格設定はできません。このためシンガポールでは、自国民に限定した優遇措置を導入しています」(青山さん)
具体的には、住宅取得に際して手厚い補助金制度を設けたり、格安の賃料で入居できる公営住宅を幅広い層に提供したり、といった自国民限定の優遇制度を導入することで「二重価格化」を図っているという。シンガポールの長期滞在ビザを持っていた青山さんも、観光施設には「国民待遇」の料金で入場できたが、不動産購入に関しては「外国人扱い」だったという。
「日本にも割安な賃料の公営住宅がありますが、入居対象は低所得者に限定されていますね。シンガポールの場合、公営住宅が低所得者層向けというイメージはありません。自国民でありさえすれば、住みたい人は住めるシステムになっています。不動産を購入する場合も手厚い補助金が支給されるため、富裕層でなくても所有のハードルはそれほど高くありません」(同)