全ネット銀行中、預金残高で2位、貸出金で1位の住信SBI
ポイント情報サイト「ポイ探」を運営する菊地崇仁さんはこう指摘する。
「他のポイント経済圏と比べた場合、dポイント陣営の弱点は、証券業とeコマース、銀行業をきちんとカバーできていないことだと言われてきました。住信SBIネット銀行の買収によって、足りなかった3つをすべて揃えられたことになります」
eコマースについては自前のdショッピングを運営しているものの、楽天市場やZOZOTOWNも含めたYahoo!ショッピングと比べれば貧弱だった。それだけに、日本国内でも最大手であるアマゾンとのタッグは大きな意味を持つ。
しかも、住信SBIネット銀行はネット銀行の中で楽天銀行に次ぐ2位の預金残高を獲得しており、3位以下を大きく引き離している。貸出金では、2位の楽天銀行に大差をつけてのトップだ。
「近年、日本航空や高島屋、ヤマダデンキ、京王電鉄などがそれぞれのブランド名で銀行サービスを提供するケースが増えていますが、このBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス=事業会社ブランドの銀行サービス)で大きくリードしているのも住信SBIネット銀行で、口座数を大きく伸ばしています」(菊地さん)
単なる弱点の補強にとどまらず、dポイント陣営は強力な武器を手に入れたとも言えるだろう。携帯電話の契約数を除けば、会員数、証券口座の獲得数、預金残高でトップの楽天経済圏が最強だと言えそうだが、dポイント経済圏も大幅な勢力拡大が現実味を帯びてきている。単純に数字だけを比較すると、いずれの観点から見てもPayPay経済圏の規模が貧弱だが、QRコード決済で約7割ものシェアを握っているうえ、意表を突く業務提携によって他のポイント経済圏と手を結ぶことになった(詳しくは後述)。