
VポイントとPayPayポイントとの相互交換が実現へ
一方、6月初旬に報道されたのが、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)とSBIHDが共同で新会社を設立するというニュースだ。SMFGとSBIHDは22年6月に資本・業務提携を結んでおり、この組み合わせ自体は驚くべきものではない。新会社が担うのは、AI(人工知能)などを活用した高度な資産運用サービスをSMFGの総合金融アプリ「Olive」で提供することだと目されている。「Olive」は高還元率のVポイント付与を強みに急ピッチで口座数を拡大しており、新会社設立はさらなる飛躍のための一手ということなのだろう。
ちなみに、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が26年度の後半にデジタルバンクを設立することも報じられたが、その売り物のサービスと位置づけられているのがAI分析によるオーダーメイドの資産運用プランなどを提案する「MAP(Money Advisory Platform)」だ。MUFGはロボットアドバイザーのウェルスナビを筆頭に、数々のフィンテック企業を傘下に収めてきた。現時点では独自のエムットポイント(26年度に本格導入)を顧客囲い込みの手段に用いる方針だが、共同出資を行ってきたこれまでの関係性を踏まえれば、MUFGとau経済圏との本格的な連携もありうる話だろう。
SMFGと言えば、今年5月にその子会社である三井住友カードとソフトバンクが包括的な業務提携で合意したことも、“ポイ活”界隈では大きな話題になった。なぜなら、この提携によってVポイントとPayPayポイントとの相互交換が実現するからだ。今までQRコード決済ではVポイントを貯められなかっただけに、同経済圏にとっては画期的な出来事だと言えよう。
「他のポイント経済圏とは違い、Vポイントだけは携帯電話が欠如していました。PayPayにしても、たとえばPayPay証券とPayPay銀行の両方に口座を作っても何らかの特典が得られるわけではなく、経済圏内の結びつきが弱いのが難点でした。そういった意味では意外性がなく、想定できる組み合わせであったと言えそうです」(同)