ポイント経済圏にも影響を及ぼす最近の主な動き
ポイント経済圏にも影響を及ぼす最近の主な動き
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 買い物などでもらえるポイントを賢く貯める“ポイ活”。物価高が続くなか、ちょっとしたお得をゲットするだけにとどまらず、生活防衛のための手段になっている。現在、日本国内では5つのポイント経済圏(楽天、ドコモ、au、Vポイント、PayPay)が勢力争いを繰り広げてきた。足元でも経済圏の拡大・強化を目指し、M&A(企業買収)や資本・業務提携などの動きが活発化し、様々なニュースが話題になっている。より効率的にポイントを貯めるために、ポイント経済圏を巡る各社の動向にも敏感になったほうがよさそうだ。

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 最も話題になったニュースは、5月下旬に明らかになったNTTドコモによる住信SBIネット銀行の買収だろう。社名からも想像がつくように、住信SBIネット銀行はSBIホールディングス(HD)と三井住友信託銀行が共同で設立したネット銀行で、それぞれが34.19%ずつ株式を保有していた。

 NTTドコモは5月30日からTOB(株式公開買い付け)によって一般株主の保有株を買い取っており、7月10日にその作業が完了。こうして住信SBIネット銀行を非上場化したうえで、SBIHDの保有株を取得して連結子会社化する。

 実は、この買収交渉は破談となりかけていた。SBIHDの会長兼社長は、物言う株主がフジ・メディアHDの取締役候補に挙げたことでも知られる北尾吉孝氏だ。その巧みな交渉術に屈し、親会社であるNTTが、SBIHDが実施する第三者割当増資を引き受けることを条件に、買収が合意に至ったと言われている。出資額は総額で約1108億円にのぼっており、親にこれだけの大枚をはたいてもらうほど、住信SBIネット銀行の獲得はNTTドコモの悲願だったということだろう。

 今回の大型買収以前から、NTTドコモは着々とポイント経済圏の強化を図っていた。2023年10月に、マネックスグループおよびマネックス証券と資本業務提携を締結。翌年1月にはマネックス証券を連結子会社化し、証券業にも手を広げた。そして、24年4月にはアマゾンジャパンとの提携を発表。ドコモの回線契約者がアマゾンにおいてQRコード決済のd払いで買い物をすると、最大3.5%のポイント還元を受けられるという特典を設けた。

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