
東海道新幹線はよく雨のために運休する。帰省シーズンに重なれば、主要駅で大勢の家族連れらがホームで行き場をなくしている様子がニュースで流れるが、それも珍しい光景には感じない。それにしても、なぜこうも弱いのか。その理由を探ってみると、1964年の開業時にたどり着いた。
【写真】雨に弱い盛り土 JR東海の小牧研究施設につくられた「試験盛り土」はこちら
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雨による東海道新幹線の運休は、いまや珍しくない。昨年8月16日には、列島を襲った台風7号により、東京~名古屋間で終日止まり、多くの帰省客が予定の変更を余儀なくされた。
1964年の東京五輪前に急ピッチで建設
なぜこうも、東海道新幹線は「雨に弱い」のか。
「東海道新幹線には構造的な問題がある」
こう指摘するのは、鉄道ジャーナリストの梅原淳(うめはら・じゅん)さんだ。
東海道新幹線は1964年の東京オリンピックに間に合わせるため、59年に着工され、64年に開業した。建設期間が短かったことと、コンクリート構造物を大量につくる予算が足りなかったことから、
「従来通りの『盛り土』の上に線路をつくることになったのです」
盛り土とは、土を盛って人工的につくった土台のことだ。東海道新幹線の全線515キロのうち、約半分の44%が盛り土区間となっている。
それに対し、東海道新幹線より後に開業した新幹線は高架橋などコンクリート構造が中心だ。72年に開業した山陽新幹線は高架橋やトンネルが多く、盛り土区間は8%、82年に開業した上越新幹線はほぼ全線が高架やトンネル区間であるため、わずか1%に過ぎない。